てしかがえこまち推進協議会

住民自らが動く、持続可能なまちづくり

てしかがえこまち推進協議会は、2008年に発足した住民主体のまちづくり団体です。活動のビジョンは「誰もが自慢し、誰もが誇れるまち」。8つの部会に分かれ、ビジョンに基づき観光を基軸としたまちづくりを行っています。

2023年現在、75名の町民が所属し、会長は町長、事務局を弟子屈町役場と摩周湖観光協会(地域DMO)が担っています。主な活動である部会活動の他、協議会全体でも年に一度「てしかが観光塾」を開催し、観光を担う人材育成を目的に全国から塾生を集め、数日間のセミナーを実施しています。

住民自らが主体的に動くことができる仕組みは、持続可能な地域づくりの基本。全国のロールモデルとしても注目されています。協議会の概要や各部会の活動については、てしかがえこまち推進協議会のWebサイトをご覧ください。
https://teshikaga-ecomachi.studio.site/

エコツーリズム推進の取り組み

エコツーリズムとは、地域ならではの資源を環境保全や観光振興に活かしていく観光のあり方のこと。弟子屈町は、湖、森、火山など豊富な自然資源に恵まれたまちです。豊かな自然を活かしながら次世代に残し続けていくため、てしかがえこまち推進協議会が中心となって、エコツーリズムを推進してきました。

エコツーリズム推進全体構想とは

エコツーリズムを推進するために定める地域の指針が「エコツーリズム推進全体構想」。全体構想を策定し、国の認定を受けると「エコツーリズム推進全体構想認定地域」となります。弟子屈町は2016年11月に「てしかがスタイルのエコツーリズム推進全体構想」を定め、北海道で初めての認定地域となりました。
全体構想では、弟子屈町の資源が何であるかを特定し、エコツアーで守るべきルールやモニタリングが必要な箇所及びその方法などについて定められています。

旅行者が守るべきルール(抜粋)
・ 弟子屈は自然豊かな場所ですが、自然の利用は原則、自己責任です。しっかりと計画を立て、装備をそろえ、安全に気を配りながら楽しみましょう。
・ 野生動物を観察するときは適度な距離を保ち、動物の行動や生息環境に悪影響を与えないよう配慮しましょう
・ 不必要な野生動物や昆虫類の捕獲や植物の採取はせず、植生を踏み荒らさないよう配慮しましょう
・ 地域に本来生息していない動植物を持ち込まないようにしましょう
・ ゴミは持ち帰りが原則です

てしかがスタイルのエコツーリズム推進全体構想

認定ガイドによる「アトサヌプリトレッキングツアー」

エコツーリズム推進全体構想では、特に保全が必要な固有の資源について「特定自然観光資源」に指定することができます。弟子屈町では2020年にアトサヌプリ(硫黄山)の噴気孔及び硫黄結晶を特定自然観光資源に指定し、アトサヌプリをエコツーリズム推進法第19条に基づく立ち入り制限区域に指定しました。許可なく立入りした者は、30万円以下の罰金が科せられます。

また、立入り制限区域の指定と同時に、認定ガイド制度を創設。現在は、てしかがえこまち推進協議会の定める基準をクリアした認定ガイドの引率の下でのみ、アトサヌプリへの登山が認められています。登山ツアーは地域DMOである「一般社団法人摩周湖観光協会」が主催し、2020年より「アトサヌプリトレッキングツアー」として販売されています。現在のツアー参加料は1名13,000円ですが、ツアー代金の一部は、自然保護や整備に充当させる仕組みとなっています。

2023年2月、これらの取組みが評価され、アトサヌプリトレッキングツアーは環境省及び(一社)日本エコツーリズム協会共催で行われた「エコツーリズム大賞」を受賞しました。

モニタリング結果の公表

エコツーリズム推進全体構想により、以下のモニタリングを実施しています。
●釧路川におけるモニタリング
●摩周岳登山道におけるモニタリング

GSTCを学び、活用する

持続可能な観光に関する国際基準であるGSTC(Global Sustainable Tourism Council)は、サステナブルツーリズムを推進する上での基礎的知見として大切な分野です。弟子屈町では、GSTC公認トレーニングプログラム並びにGSTCに準拠した国際基準について学ぶ研修を定期的に開催しており、これまでの開催状況、参加状況などは以下の通りです。

GSTC公認トレーニング

弟子屈町内におけるSTTP(Sustainable Tourism Training Program:GSTCの定める3日間の公認トレーニング)の受講状況

開催年月 2019年11月 2022年1月 2022年11月
開催場所 阿寒湖温泉 弟子屈町 弟子屈町
参加人数(町民) 10名 9名 10名

Professional Certificate in Sustainable Tourism試験合格者

2023年6月現在:8名

事業者に向けた研修の実施

GSTCの認定を受けた国際認証について学ぶ、事業者向けの研修も実施しています。
<2022年度>
・ガイド事業者向け研修を実施(2022年11月)
・宿泊施設向け研修を実施(2023年2月)
※2023年度も同様の研修を実施予定です。

弟子屈町サステナビリティ・レポート

弟子屈町では、サステナビリティ・コーディネーター(1名)を配置し、GSTCに準拠した「日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D:Japan Sustainable Tourism Standard for Destinations)」に基づく地域診断(アセスメント)を2021年度より実施。診断結果はサステナビリティ・レポートとして本サイトにおいて公開しています。

JSTS-Dに基づく自己診断

町民への理解促進に向けた取り組み

持続可能な観光地域づくりの推進にあたり、とりわけ重要なのは住民理解の促進です。地域が豊かになるための手段のひとつが観光の推進。地域の自然を守りながら、経済循環を進めていく視点が必要です。そのための柱となる「弟子屈町観光振興計画」について、町民の皆さんへ周知するために以下の取り組みを行いました。

2022年度の広報てしかが連載

観光振興計画に関する広報てしかが連載記事(2022年4月~2023年3月号)

モニターツアー実施

エコツーリズム推進の取り組みとして、町民モニターツアーや、町内の小学生を対象としたアトサヌプリトレッキングツアーを開催しています。
(2022年度は町民モニターツアー2回、小学生登山1回)

観光に関する各種データの公開