2018.01.01

 「第1があって、第3もあるのに、第2はない? 何かウラがある? 確かに裏もある」…。そんなクイズになりそうなのは、皆さんもよくご存じの、摩周湖にある展望台です。

 今でこそ、世界中に名を広めている摩周湖ですが、そもそもはアイヌの人たちに「キムタアンカムイトー(奥山にある神の湖)」と称されたところ。何かのついでに立ち寄るような場所ではなく、1年のうちに数えるほどの人たちが通り、何とか踏み分けたような跡がついているに過ぎませんでした。

 摩周湖第1展望台への道路が整備されたのは1929(昭和4)年。弟子屈の駅裏から直線道路が着工されました。1934(昭和9)年には周辺一帯が阿寒国立公園に指定されたことも追い風となり、大勢の観光客が押し寄せました。そこで、観光客間の1カ所集中を避け、皆さんに歩きながらの風景も堪能してもらいたいとの思いから、第2、第3の展望台整備を進めたのです。予想外だったのは、第1と第3をつなぐ間、つまり第2展望台の設置を目指した辺りが、あまりにも傾斜が急で険しい崖が続いていて、整備利用が困難だったことです。これまでにも何度か、第1 展望台から第3展望台へ続く4キロの散策道路計画案が浮上していますが、実現はしていません。予定された場所自体、すでに記憶の彼方です。

 雪が道路を覆う期間、第1展望台から第3展望台を経由して川場へ続く道道は通行止めとなり、スノーシュー(西洋かんじき)を楽しむ人たちに人気のコースとなっています。今のところ、摩周第2展望台は、このときだけしか立ち寄れない展望台。立ち寄った方それぞれのオリジナル展望台が出現するのです。「いつか実物ができるかもしれない」と思えるのが、摩周第2展望台です。

てしかが郷土研究会(斎藤)