2018.01.01

 はるか昔、屈斜路火山が噴火を繰り返し、火山の中央部が陥没して、徐々に水がたまり屈斜路湖が作られた。その後、摩周火山が噴火し摩周湖の原型となる地形ができ、7,000年の歳月をかけて水をため現在の姿になった。

 弟子屈は火山活動による大地が広がり、屈斜路湖の外輪山はゆるやかな稜線を描き、そのまま湖底につながり、平均水深28mと広く浅い湖となる。摩周湖は急な斜面に囲まれ、斜面から一気に最大深度211mまで続いている。

 二つの湖は相似形だが、それぞれ火山の影響を受けて水質に違いがある。屈斜路湖は硫黄山の酸性による影響で、湖の一部は酸性のpH2を示すが、周囲約57kmの大きな湖は、自然浄化作用により湖全体としては中性となる。摩周湖は活火山で、湖底より温湧水が湧き出し、湖全体に溶け込み摩周湖の特徴ある水を生み出している。

 屈斜路湖から流れ出る釧路川は、広大な釧路湿原を潤している。摩周湖は直接流れ出る川はなく、外輪山周辺に湧水地が点在しているが、それぞれの湧水は水質が異なっている。屈斜路湖・摩周湖の水は道東地域の大切な水がめの役割を担い、私たちの生活の基本を支えている。

 弟子屈に豊かな水があるのは、透明な空気があり、水が集まる集水域という地 形、保水力のある土壌と自然森が広がっているからである。これからは水の時代といわれている。「私たちは、この水に恵まれている弟子屈を、どのように未来へつなげることができるのだろうか」と思いながら、12回シリーズで紹介した「郷土の自然」を 終わります。

てしかが郷土研究会(藤江)