2018.01.01

 私たちの住む弟子屈町に天然記念物があるのをご存じでしょうか。それは、屈斜路湖の南部から突き出した和琴半島のミンミンゼミです。マリモの名付け親 として有名な宮部金吾博士が、1931(昭和6)年に和琴半島でミンミンゼミの生 息を確認したのが始まりといわれています。ミンミンゼミは、本州以南の山地ではごく普通に見られるセミですが、道内では渡島半島や定山渓付近にわずかに見られる程度で、ポツンと離れ小島のように北限地の和琴に生息しているのです。

 これは、最後の氷河期の後に訪れた暖候期にすみついたものの、その後、気温が降下、噴火口や温泉湧出口などがあって地温が高い和琴半島のミンミンゼミだけが生き残ったという貴重なものです。北海道の気候変動を知る上の大切な資料とされ、1951(昭和26)年6月9日「和琴ミンミンゼミ発生地」として国の天然記念物に指定されました。セミは地下にすむ幼虫期が長いので、踏み荒らされると絶滅の恐れがあり、今後の保護対策が待たれるところです。

 さて、この半島は火山の噴出によってできた溶岩円頂丘で、尖端では活発な噴気活動が見られ、オヤコツ地獄と呼ばれています。広葉樹の天然林に覆われ、徒歩1時間の自然探勝路は森林浴に最適です。夏の1日、ゆっくりと木立の中を散策し、わが町の天然記念物の鳴き声に耳を傾けてはいかがでしょう。

てしかが郷土研究会(蜂谷)