2018.01.01
歴史写真館NO.115 孤高のオジロワシ 郷土の自然11 ~阿寒国立公園指定80周年~
オジロワシは12月ころから上空にその姿を現し、3月ころまで見ることができる。大型の猛禽(もうきん)類で羽を広げると1m80cmほど、クチバシは黄色味を帯び、目は猛禽特有の鋭さがあり、毛色は茶を主として尾羽は白く、足は黄色である。
夏はオホーツク海北部で子育てを行い、冬に北海道に渡ってくる。その移動距離 は2,000kmほどになるが、長距離を移動することは野生にとってリスクを伴うものだ。一部には道東で1年を過ごす留鳥(りゅうちょう)もいるが、大半は餌や最適な環境を求めて渡りをする。渡りの本質は分かっていないが、それぞれ生命をつなぐ選択なのだろう。
越冬期は北海道の山間部や湖、河川、沿岸などで過ごし、それぞれの場所に応じた生活をする。摩周湖・屈斜路湖周辺でも餌を求めて木に止まっている姿を見ることができる。野生動物は事故に遭ったり、積雪などで餌が取れなくなり衰弱して命を落とすことがある。それらを食物連鎖の捕食者として、人の視力の数倍はあるといわれる目で見つけ出す。
オジロワシは体が大きく羽ばたきに体力を必要とするので、風を待って飛ぶことが多い。止まり木でじっとして、風が吹き上昇気流が発生すると、その風に乗って旋回しながら上昇し、一定の高さになると一気に目的の方向へ滑空していく。その姿は矢のようで、あっという間に点になり見えなくなってしまう。彼らにとっては道東全域などチョットした散歩程度に見えるが、冬に餌を確保することは難しく、その厳しさ故に緊張感が漂う美しさがある。
野生動物を観察すると、地球の営みに合った生き方をしている。季節の移ろいを肌で感じ取り、本能的に空の道を渡り、見えない風を感じ、千里の目を持っている。人も耳を澄ますと、オジロワシのように自然の声が聞こえるのかもしれない。
てしかが郷土研究会(藤江)