2018.01.01

 はげしく降りつづいた雨が、釧路川の濁流の水かさをまし、川上で、根こそぎになって押し流されてきた、根のついたままの大木が、テリたちの家の近くにひっかかり、水の流をかえてしまい、がばがば、がばと、川岸の土崖をくずし…。(略)

更科源蔵著「父母の原野」から

 

河川の流を制御していなかった時代の釧路川は、流れの方向を自由に変えるように蛇行して流れていて、また、長雨の度に大暴れをしました。写真には、

碍害木除去作業

河川保護組合仁田支部

昭和10年3月 17日

 

と書いてあって、冒頭の一文のようなことが前の年の秋にあったのでしょう。

 釧路川に合流する鐺別川は、アイヌ語の「トウペツ」から付けられています。石狩地方にある当別「二つになる川」という意味とはまったく別で、弟子屈の「トウペツ」は『倍になる川』。雨が降った後は、川幅が数倍になる川の意味といわれています。

 鐺別川の水が釧路川と合わさった下流では、その破壊力は倍から数倍になり、写真にあるような大木も上流から運ばれてくるのです。この障害物を除去しておかないと、増水した川が流れを変え、一晩で畑が川の中になってしまうことも度々あったのです。

 雪解け水で川が増水する前に、次の大雨に備えて、部落の人たち総出の作業となりました。

てしかが郷土研究会(松橋)