2018.01.01
歴史写真館NO.62 釧路川の碍害木除去作業
はげしく降りつづいた雨が、釧路川の濁流の水かさをまし、川上で、根こそぎになって押し流されてきた、根のついたままの大木が、テリたちの家の近くにひっかかり、水の流をかえてしまい、がばがば、がばと、川岸の土崖をくずし…。(略)
更科源蔵著「父母の原野」から
河川の流を制御していなかった時代の釧路川は、流れの方向を自由に変えるように蛇行して流れていて、また、長雨の度に大暴れをしました。写真には、
碍害木除去作業
河川保護組合仁田支部
昭和10年3月 17日
と書いてあって、冒頭の一文のようなことが前の年の秋にあったのでしょう。
釧路川に合流する鐺別川は、アイヌ語の「トウペツ」から付けられています。石狩地方にある当別「二つになる川」という意味とはまったく別で、弟子屈の「トウペツ」は『倍になる川』。雨が降った後は、川幅が数倍になる川の意味といわれています。
鐺別川の水が釧路川と合わさった下流では、その破壊力は倍から数倍になり、写真にあるような大木も上流から運ばれてくるのです。この障害物を除去しておかないと、増水した川が流れを変え、一晩で畑が川の中になってしまうことも度々あったのです。
雪解け水で川が増水する前に、次の大雨に備えて、部落の人たち総出の作業となりました。
てしかが郷土研究会(松橋)