2018.01.01

 昭和30年代後半(1960年代前半)ころまでは、中年以上の女性の和服姿は日常でした。

 和服も、汚れると洗濯をしなければなりません。金糸、銀糸を織り込んだ高級な呉服生地であれば、専門の業者に丸洗いをしてもらうしかなかったのでしょうが、普段着の和服であれば、縫い糸をほどき、一片の生地にしてしまい、丁寧に洗うことができます。その洗った生地にのり付けをして“張り板”に張り付けると、パリッと乾燥します。そして、バラバラになったパーツを縫い直せば、元の和服によみがえります。

 生地が磨り切れたものも、洗い張りをして裁ち切って子どもの着物にしたり、 かい巻きに降ろしたりします。よくよくボロボロになり、端切れになっても、何かの繕いをするときの当て布にするまで大切に生地を使い切っていたのです。

 張り板は、目の細かいかんながげで仕上がっています。そのツルツルの板で、 子どもが思いつくのは滑り台です。親の目を盗んで引っ張り出して滑り台にして遊ぶ、大変重宝な道具でもあったのです。見つかれば、それ相当のお仕置きは待っていましたが。

てしかが郷土研究会(松橋)